
◆便潜血とは?
便の中に血が混ざっているかどうかをみるための検査です。
大腸がん検診として行われています。
2日間取るのが一般的で、どちらか片方でも陽性であれば、要精密検査となります。
◆どんな病気で陽性になるの?
目で確認できるほどの血便はもちろん陽性になりますが、見た目ではわからないような少量の出血でも陽性になります。大腸癌、大腸ポリープ、潰瘍性大腸炎などの炎症、痔からの出血でも陽性になります。
大腸がん検診として行われている検査ですが、注意したいのは、”すべての大腸癌で陽性になるとは限らない”ということです。
大きな大腸癌は出血しやすいため、便潜血が陽性になる可能性が高いです。一方、早期の大腸癌では、便潜血が陰性であることが少なくありません。
つまり、便潜血が陰性であっても、大腸癌がないとは言い切れないということです。
進行がんで10~20%、早期がんでは約半分が、便潜血の検査で陰性になるとされています。
◆陽性になったらどんな検査をするの?
便潜血検査で陽性になった場合、まず行うべき検査は大腸カメラ(大腸内視鏡検査や下部消化管内視鏡検査とも言います)です。大腸カメラは、お尻の穴からカメラを入れて、大腸全体の粘膜を見ることができるため、便潜血で陽性にならないような平べったい大腸癌や小さなポリープなども見つけることができます。
◆大腸カメラ以外の精密検査はあるの?
CT colonography(シーティー・コロノグラフィー)という検査があります。レントゲンを使い、体の輪切りの画像をコンピュータで作り解析するものです。
◆大腸カメラとCT colonography(シーティー・コロノグラフィー)はどちらがいいの?
結論から申し上げますと、大腸カメラを受けられる体調ならば、大腸カメラをお勧めします。
両検査とも、大腸の中に便がある状態では検査ができないため、便を出すために検査の前に下剤を飲む必要があります。
・CT colonographyでは、進行がんや10mm以上のポリープに関してはほぼ見つけられますが、5mmのポリープや平べったいタイプの早期癌を見つけるには、大腸カメラの方が優れています。
・CT colonographyは画像のみの検査で、治療や生検などの検査はできないため、大腸癌やポリープがあると判断された場合には、結局は大腸カメラを行って、生検やポリープの切除を行うことになります。
・CT colonographyはレントゲンによる被曝があるため、若い人が繰り返し行う検査としてはお勧めできません。
人によって、大腸のひだが深かったり、憩室や癒着などで大腸カメラの操作が難しいことがあります。大腸カメラで観察が不十分となってしまう人が、ポリープの検出の感度を上げるための補助的な検査としては、CT colonographが役に立つかもしれませんが、上記の理由から、”大腸カメラの代わり”にはなりません。
高齢の方や持病による体の状況から、下剤の内服による体への負担が大きいと考えられる場合は、下剤を飲まずにCT検査を行うこともあります。この場合は、あくまで「便が残っている状態でも画像に写るような、ある程度のボリュームを持った進行癌がないか確認する」という目的です。
大腸カメラは下剤を飲むのが大変だし、食事制限もあるし、つらそうなイメージがあるから受けたくないという患者さんが多いです。
しかし、大腸癌にかかる人は増加傾向にあります。日本のがんによる死亡原因で、大腸癌は男性では3位、女性では1位です。
40歳になったら一度は大腸カメラを受けておくことをお勧めします。
★大腸癌は早期であれば根治が望めます。早期発見、早期治療のためには、定期的な検診が大切です。
★1回でも便潜血が陽性になったら精密検査を受けましょう。
★検査を受けた方が良いか迷う場合や、検査について不安な時は、医師に相談しましょう。
鎮静剤も使用できる、苦しくない内視鏡
女性医師によるやさしく丁寧な内視鏡検査を行っています。